平成20年度「食と農林水産業の地域ブランド協議会」総会等
開催結果の報告(上原会長の挨拶)
上原 征彦 食と農林水産業の地域ブランド協議会会長
(明治大学大学院グローバルビジネス研究科教授、前食料・農業・農村政策審議会会長)
開会にあたりまして、一言ご挨拶を申し上げます。会員の皆様には、大変お忙しい中、本日の総会にご出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
また、本日はご来賓として、公務ご多忙な折にも関らず、野村哲郎農林水産大臣政務官にご臨席賜り、深く感謝を申し上げます。
100年に一度の不況と言われているが、今回の不況は1929年の世界恐慌とはまったく質が違います。これを同じとみると、地域ブランドの戦略は萎縮してしまうので注意が必要です。
1929年の恐慌は、スペインの小麦が過剰生産によって数ヶ月余ったことに始まります。現在ならば過剰生産を補完する仕組みがあるが、当時は補完する仕組みがありませんでした。このため、小麦を中心に農産物価格が暴落しました。当時は農業所得が産業所得の中心を占めていたので、農業所得の減少が波及して株価の暴落につながりました。1929年の恐慌の原因を一言でいえば、所得の大幅な減少です。
今回の不況は、アメリカの金融資本主義によるものだといわれています。金融資本主義は企業の資産価値を時価で計算し、これを流通させるところに特徴があります。資産価値を価格で計るということは、需要と供給にかかわる問題です。ところが、まだ需要もはっきりしていないうちに、経営者の経営努力を評価するなどして価格がつけられ、そういうものが転々としていくうちに仮需がつくられました。
仮需と実需との間の乖離が認識されると確実に資産価値は暴落します。現在の状況は、総体的に過剰資産がもたらされています。過剰資産のうち、いかに有効な資源があるかどうかが一国の経済を規定します。日本には、技術力や貯蓄力からみたら結構いい資源があります。これをうまく動員すれば、景気の回復は比較的早いのではないでしょうか。そういう希望を持って我々は頑張っていくべきだと思います。
この中で一つ、大きな変化があります。今、アメリカでも時価会計が見直されつつあるが、物的資産価値を計測してこれを流通させていくという金融資本主義から大きく変わりつつあります。「関係資産」といわれるが、売り手と買い手との関係が資産になります。これは実需の資産です。関係資産がこれからの経済に効いてくると思われます。
そこで一番重要なことは、まさにブランドというのは、売り手と買い手との関係を示す証であり、その関係が資産化され、ブランド価値となっていくことです。
もう一つは、これからの産業は地域ぐるみで創造されるということです。例えばザルツブルクというのはブランドで世界的に非常に有名だが、人口はたった11万ぐらいの都市です。日本国内だけで地域ブランドの競争をするのではなく、世界に発信し、世界の中で競争力をつけていただきたい。
各々の会員がお客との関係を深めていくことにより、この協議会が日本経済の原動力になることを、私は期待しています。




