20年度「食と農林水産業の地域ブランド協議会」総会等開催結果の報告
パネルディスカッション「地域ブランド戦略の構築とブランド価値の創造」 #5
地域ブランド化のノウハウ
(金子さん)2番目のテーマ「地域ブランド化のノウハウ」について話し合いたいと思います。
魅力的なものを見つけ、その魅力をひきだすこと(田中さん)
(田中さん)ブランド化の進め方は地域によって多様だと思います。品目も違えば、地域の規模や状況も違いますので。しかし、敢えて地域ブランドを成功させる共通的な要素を指摘するならば、地域にある良いものを見つけて、その良さを付加価値にして商品化することだと思います。地域には様々な良いものがあります。自然、歴史、産物、人、踊り・・・・。
お米を例に考えますと、お米は等級以外にも、様々な捉え方が出来ます。特定の料理に合うお米、特定の時期に出回るお米、観光資源として使えるお米、飼料米として使えるお米等々。
一つの品目を見ても様々なキーワードで捉えることができるわけです。様々な品目を様々な視点から捉えた何百何十というものの中から、他にはない魅力的なものを見つけ、それを付加価値にして、それで人を呼べないか、あるいは商品に作れないかと考えていくことがブランド化の取組であり、その手法は「ごまんとある」と思います。
経営者や団体の長の覚悟がカギ(三輪さん)
(三輪さん)私は、成功するという意味を、事業を継続することだと定義しています。そして、事業を継続させる仕組みを作るには、地元にキーパーソンが必要だと思います。
また、ブランド化というのは企業や団体の経営方針を変えるぐらいの覚悟がなければ、経営者も団体の長も挑むべきではないと思います。食品事業者の多くは中小零細であり、経営者イコール企業の人格となっています。社長が表面的にはブランド化に意欲を見せていても、担当スタッフがブランド化に足踏みしているとすれば、実は社長が余り乗り気ではないと見るしかありません。
最後に、私のような外部からプロデューサーとして関わる際に、やってはいけないことは「上から目線」で話すことです。東京から仙台に移って6年目になりますが、東京に来るたびにそれを感じます。東京のマーケティングのプロデューサー等にブランド商品を紹介すると、「売ってやる」、「助けてやる」のような言い方をされます。この言い方は地域の人が一番嫌がります。地域にとって我々外部の人間を受け入れることは、ウイルスやエイリアンを受け入れるに近いことなのです。免疫を作るためには、まず心を開いてもらう作業が必要です。
(金子さん)
実施主体側から、取り組む際の悩みや課題をお願いします。
関係者の連携体制と内部の意識改革が課題(藤田さん、種子島さん)
(藤田さん)事業を始めてから二つの課題があります。一つは、関係者の連携組織づくりです。今までは漁師は釣るだけ、漁協は仲買人が買いやすいように大きさを選別するだけ、仲買人は買って売るだけ。この3者の連携と組織化が課題です。
二つ目は、ブランド化を進めるには船上での活けじめ脱血が必要ですが、漁師は血抜き処理をするよりも、1匹でも多く釣った方がカネになると考えています。どのように説明して意識改革を図るかが課題です。
(種子島さん)
少子化・高齢化が進む中、若手が定着する地合を作るために、ブランド化によって農産物の付加価値を上げていきたいのです。そのような認識をブランド協議会を構成する団体で共有したいと思います。1人が変なことをやってしまうと、地域全体で進めてきた努力が水の泡になってしまいます。ですから、抜け駆けは許さないという認識を共有化する必要があります。しかし、意識改革というのは簡単ですが、島の人は優しいので、なかなか厳しく言う人がいません。
(金子さん)
藤田さんと種子島さんに共通する悩みは、関係者の連携と内部の意識改革です。これに対して田中さんと三輪さんから一言コメントをいただけますか。
従来とは逆の視点で発想することが大切(田中さん)
(田中さん)外部からの「上から目線」が問題との指摘がありましたが、地域の側にも自分の視点だけでものを考えてしまう問題があるようです。良いものを作ろうという生産者の視点も重要ですが、今までの目線で上手くいかなかったのだから、目線を正反対にすることが重要だと思います。ブランド戦略では、常に消費者視点で考えることが大切です。従来のように量を作るだけでは上手くいかなくなったのならば、今後は逆に量から質への転換を目指しましょう。今までとは違う視点で考えて様々なチャンスを生み出していくことが、ブランド戦略の基本だと思います。
そのために、ブランド化の体制を作るときは、生産者だけでなく、必ず他の立場の人を入れることが重要です。20代の若手、女性、よそ者、Uターン者など、様々な人に参加してもらうこと。そして、できれば一つのことだけではなく、二つ、三つのことを同時並行して行うと、互いが切磋琢磨して競争し合うので、またそこに新たな発想が生まれ、活動が活発になります。そのような気づきのチャンスをつかみとることも重要です。
(三輪さん)
関係者の連携を促す方法として、誰でも出来る方法ではありませんが、私がよく使う手を紹介します。1回目の会議は皆、様子見ということもあり、地元から余り意見が出ず、盛り上がらないことが多いので、あえて「これは」と思う人を見つけ、その人に対して徹底して厳しい意見や質問をぶつけます。すると、会議に参加している地元の関係者は、その人を擁護しようとして一斉に意見が出ますし、何故か連帯感も盛り上がるという経験を何度もしています。




