あのりふぐ(三重県)
取組主体
あのりふぐ協議会
取組の概要
地元で天然のトラフグが多く水揚げされているにも関わらず、トラフグは一度下関に運ばれてから高値で出荷され、地元の漁業者はその利益を得られないことに疑問を持ち、漁業者と観光業者とが協力して、1999年に取組を開始。地元の認定店のみでトラフグを提供する販売戦略を 取り、トラフグの産地市場価格を高めるだけでなく、観光業への波及効果ももたらしている。
【ブランド化のきっかけ】
●トラフグの資源管理ポイントを行ってきたことで、ブランド化に取り組む基礎ができた。
1980年代後半、突然の豊漁をきっかけにトラフグを獲る者が急増したことから、資源管理の重要性を認識。安乗漁業協同組合(当時)が中心となって、他県の漁業者も交えた広域の資源管理を実施することとなった。このことが、「あのりふぐ」のブランド化に取り組む基礎となった。
●産地市場での価格と下関での価格差に疑問を持ち、地元の関係者が集まって取組みを開始した。
資源管理の結果、漁獲量は増えたが、地域内で販売ルートがなく、ほとんどが下関を経由して販売されていた。産地の市場での価格と下関での価格の差に疑問を感じ、1999年に安乗漁業協同組合が旅館組合や行政とともに「あのりふぐ」の名称を用いたPR活動を開始。2003年には、漁業者や旅館、観光団体が集まって「あのりふぐ協議会」を設立。この協議会の設立によって、ブランド化の機運が高まった。
【品質及び名称の管理】
2003年に「あのりふぐ」の名称で商標を取得するとともに、資源管理を行う際に設けた漁獲基準を基に、「伊勢湾を含む遠州灘から熊野灘にかけての海域で漁獲される体重700グラム以上の天然トラフグ」という「あのりふぐ」の定義を策定。水揚げ量が極めて少ない年でもこの定義に合うものだけを出荷し、天然トラフグへのこだわりを強調することで消費者からの支持を獲得した。
【マーケティング】
志摩市内の観光業者(宿泊、飲食店等)と協力し、消費者にあのりふぐを提供するルート(認定店制度)を確保することができた。
●「ここでしか食べられない」という希少価値を打ち出すため、取扱店を限定ポイントする取組を開始。
2003年、「あのりふぐ」を取り扱う飲食店を、「志摩市内の飲食店であって、かつ認定を受けた認定取扱店のみ」に限定した。これによって、希少価値が高まり、地域を訪れる観光客が増加した。なお、認定取扱店ではふぐの調理研修等を実施し、おいしいふぐをおいしく提供する努力を行っている。
●「有名になる」から「品質を保証する=ブランド化する」へ。ポイント
1999年に活動を始めた目的は「有名になること」であったが、2003年以降は消費者の信頼を得ることの重要性に視点を置き、「品質を保証する=ブランド化する」ことを取組の重点に据えて取り組んできた。
●他の水産物への波及効果。
リピーターの確保と、魚価が向上したことの波及効果が広がることを期待して、「あのりふぐ」は冬場が中心であるが、地元には他の季節にもアワビやクルマエビ等の食材があることをPRしている。
【知的財産権の活用】
- 2003年、商標権を取得。(図形商標。「あのり/ふぐ」。権利者は志摩の国漁業協同組合。あのりふぐ協議会が使用権を行使し、認定店制度との併用によりブランド化の本来の目的である商品の品質保証に活用している。)
取組の成果
- 産地市場の単価が向上。
取組前と比べて、同条件で操業する他の地区と比較した際に、志摩の国漁協におけるトラフグの単価が、1kg当たり500円~1000円程度高く取り引きされるようになった。 - 従来、観光は夏場が中心だったが、トラフグの旬である冬場の観光客が増加。
取組前は、トラフグを目的に志摩市を訪れる観光客はほとんどなかったが、現在では年間2万人程度がトラフグを目当てに地元に訪れるようになった。(トラフグの消費量から推定。)




